聴覚過敏

 脳損傷、高次脳機能障害の困った症状の一つに、怒りっぽいというのがあります。難しい言葉では、易怒性と言います。イライラして、ちょっとしたことに急に起こりだします。以前にも怒ることはあったが、こんなに急に起こり出すことはなかったのにと訴える人が多いです。
 怒る理由は人によりいろいろです。ただ、第1の理由は、脳の傷です。このために、イライラして、かっとなる人がとても多いのです。もちろん、心理的な問題や環境の影響もあります。
 まずは、きっかけになることがないか、探すと良いと思います。
 そのきっかけの一つに、音があります。
 脳に傷が行くと、聴覚が過敏になることがよくあります。症状としては、大きな音がするとびっくりして、つい怒鳴ってしまう、電車の中の話し声、若者の談笑がいやで、「うるさい!」と言ってしまった人もいます。
大きくなくても、急に話しかけられるとびっくりするという人、音の大きさではなくて、子供の高い声、洗いもののカタカタいう音が聞こえるとイライラして、今している仕事に集中できず、つい怒鳴ってしまったという人もいます。  不思議なことに、あるいは当然かもしれませんが、自分が出す音には平気なようです。
 こうした症状は、脳損傷者だけでなく、自閉症の人にも見られ、「耳塞ぎ」が見られるので、音がいやなんだ、と判るそうです。まだまだ、専門家の間でも認識が低く、これと言った良い治療法がありません。
 対応策としては、自分の好きな音楽をイヤホンで聴く、あるいは耳栓や、防音用のイヤマフなどが使われます。少し高額ですが、ノイズキャンセラーというイヤホンやヘッドフォンも売られています。