脳損傷の重症度の予測

 正確には、閉鎖性の頭部外傷の重症度の予測因子なのですが、こんな風に言われています。
 まず軽度の場合は、意識喪失の時間が30分以下、外傷後健忘の時間が24時間以内というのです。
 意識喪失というのは、意識がなく、外界の刺激に反応しない時間のことです。
 30分以内というのですから、救急車が来たときに気がついたとか、救急車の中で気がついたとかいうくらいの時間です。
 また、外傷後健忘は、なかなか判り難いのですが、外傷時点からの記憶がないが、あの時点から記憶があるという時点までの時間ということになります。
 よく聞くのは、ICUを出たときから覚えているとか、2つ目の病院に行ったときからの記憶はあるが、最初の救命センターの記憶は全くないという場合には、発症から転院までが外傷後健忘の期間ということになります。

 そして、この2つの長さとその後の重症度が結構相関するというのです。
 さてでは、中程度の脳外傷はどのくらいでしょうか。
 意識喪失の期間は、30分以上6時間以内。外傷後健忘は24時間以上14日以内ということになっています。
 重症は、意識喪失が6時間以上7日以内、外傷後健忘が14日から8週まで、極めて重症は、同じく7日以上、8週間以上ということです。
 ただし、最近では、無意識で暴れてしまう場合には薬で眠らせたり、低体温療法をしたりする場合もあり、巧く当てはまりません。

 こうした指標は、特に交通事故では大切ですので、全く反応がなかった家族の反応が出たのは今日の何時ですねと医師に確認する、いつから覚えているかはっきりさせておくといったことも大切です。
 ただ、重症の人は、2、3日前のことは覚えていないという人も多く、いつから記憶があるかと聞かれても、判らないと言う人もおられます。

 交通事故の場合には、最初から、本人の様子、病院側の説明、家族の大変さ、使った金額など何でも大学ノートなどに記録することが大切です。後々記憶がややこしくなって、判らなくなってしまいます。

 あなた、もしくはご家族の頭部外傷の最初の頃を思い出してみてください。